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鈴木 勝男; 鈴土 知明; 鍋島 邦彦
日本原子力学会和文論文誌, 3(1), p.24 - 33, 2004/03
本論文ではディジタル最適H推定器を用いて異常反応度の実時間検知を行うシステムについて議論する。本システムは、反応度バランス法に基づき検知するもので、正味反応度推定器,フィードバック反応度推定器、及び反応度バランス回路から構成される。正味反応度推定器及びフィードバック反応度推定器には、それぞれH最適フィルターが用いられた。正味反応度推定器は特に、非線形核動特性を考慮して設計した。また、高速増殖炉の実験炉「常陽」の数値シミュレーションを用いて、本システムの性能が評価された。その結果、本システムは典型的な反応度外乱1¢を0.1¢の精度で数秒以内に検知し、実用に適用できることを確認した。
鈴木 勝男; 鍋島 邦彦; 山根 剛; 藤井 義雄*
日本原子力学会和文論文誌, 2(4), p.408 - 417, 2003/12
原子炉の安全運転や反応度異常の早期検知のためには、オンライン連続的な炉心反応度の監視が必要である。日本原子力研究所の高温ガス炉臨界実験装置(VHTRC)において、デジタル非線形H推定器を用いた反応度推定実験を行った。実験方法について、反応度の投入方法,サンプリング周期とアンチエリアシングフィルタ仕様,実験回路やデジタル非線形H反応度推定器の設計を述べた。次に、種々の反応度投入に対する出力応答試験の核計装信号のサンプリングデータを入力とするデジタル非線形H推定器の反応度推定結果について議論した。その結果、VHTRCの高出力運転及び低出力運転における動的反応度が、真値からほとんど遅れることなく、精度0.05¢0.1¢の範囲で良好に推定された。また、デジタル非線形H推定器により、周期Ts=10msのデータサンプリングの実時間推定が実現できることを確認した。本実験の結果から、実機のオンライン実時間反応度計として、デジタル非線形H反応度推定器が適用可能である見通しを得た。
鈴木 勝男; 渡辺 光一
Nuclear Technology, 113, p.145 - 154, 1996/02
被引用回数:4 パーセンタイル:39.42(Nuclear Science & Technology)非線形フィードバック項を付加したH最適フィルタを非線形原子炉の動的反応度の推定問題に適用した。H最適フィルタは線形動的モデルと仮想的信号で駆動される反応度状態方程式を組合せたモデルに基づいて設計した。数値シミュレーションの結果から、比較的大きな反応度外乱のもとで、非線形原子炉の動的反応度を良好に推定できることが明らかとなった。
鈴木 勝男; 島崎 潤也; 渡辺 光一
Nuclear Science and Engineering, 119, p.128 - 138, 1995/02
被引用回数:8 パーセンタイル:63.11(Nuclear Science & Technology)本報はH線形フィルタを用いて、時間的に変化する正味反応度を推定する問題を解いたものである。まず、反応度を状態変数として扱う原子炉動特性方程式系を構築した。推定誤差のパワスペクトル行列のHノルムを最小化するH最小誤差フィルタは計測雑音で汚された中性子束から動的正味反応度の推定値を与えるものである。計算機シミュレーションに基づき、H最適線形フィルタの基本特性とその応答特性を明らかにするとともに、本フィルタが時変反応度を有効に推定することを示した。
鈴木 勝男; 島崎 潤也; 篠原 慶邦
日本原子力学会誌, 36(1), p.79 - 88, 1994/01
被引用回数:2 パーセンタイル:28.09(Nuclear Science & Technology)本報では反応度の変化が未知である場合の動的反応度推定問題にH推定理論を適用して反応度推定器を設計した。設計は一点動特性方程式と仮想的雑音/外乱で駆動される反応度状態方程式とを組合せたシステムモデルに基いて行なった。H推定理論ではこの仮想的雑音/外乱はルベーグ可積分関数空間(L)に属すると仮定する。本推定理論はカルマン理論に基づく設計論と比較すると簡潔かつ見通しよい設計論を与えることが分った。また、高速炉の反応度推定の数値シミュレーションの結果は、大きな観測雑音の下での反応度推定およびシステム雑音によって駆動される場合の反応度推定に関して良好な特性をもつことを示している。これらの結果から、H推定器は原子炉の出力運転状態において発生する反応度異常の監視に適用しうると考えられる。
鈴木 勝男; 島崎 潤也
JAERI-M 93-062, 28 Pages, 1993/03
本報はL関数空間に属する外乱全体に対して推定誤差の最大エネルギをHノルムの意味で最小化するミニマックス問題として定式化されたH最適推定理論に基づく設計法を用いて高速炉の反応度推定器を設計し、その推定結果について報告するものである。まず、通常の核的一点動特性方程式に仮想的な外乱で駆動される正味反応度の状態方程式を組合せた設計モデルを作成し推定器を設計する。次に、計算機シミュレーションにより種々の外乱に対する反応度変化の推定結果を示す。
鈴木 勝男; 島崎 潤也; 篠原 慶邦
JAERI-M 93-040, 25 Pages, 1993/03
H最適推定理論はL関数空間に属する外乱全体に対する推定誤差の最大「エネルギ」をHノルムの意味で最小化するミニマックス問題として定式化されている。本報はこの最適推定理論の定式化の特徴に注目して、設計仕様を周波数重みとして最適化基準に反映した設計法を示す。次に、通常の核的一点動特性方程式に仮想的な外乱で駆動される正味反応度の状態方程式を組合せた設計モデルに本設計法を適用して高速炉の反応度推定器を設計する。最後に、計算機シミュレーションにより種々の外乱に対する正味反応度の推定結果を示す。